虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

滝をめぐる旅 -沼田・日光-

旅行日程:2020年9月22日(祝火)~23日(水)

     沼田城址(沼田公園)→吹割(ふきわれ)の滝→日本ロマンチック街道

     →竜頭の滝→湯滝→日光湯元温泉泊→華厳の滝→日光山輪王寺日光東照宮

 

 小学校以来の日光への旅を決め、どのようなルートで日光へ行くか?と考えました。沼田から山越えをする日本ロマンチック街道を経由して日光へ抜けられることを知りました。戦国武将・真田信之のファンである私はぜひ沼田城址を一度は見てみたいと思っていたので、ちょうど良いルートになりました。

 沼田城址は市民が親しむ公園となっていて、発掘調査の様子や一部残る石垣などが当時をしのばせていました。沼田市観光案内所で可愛い9月限定武将印とストラップを購入しホクホク気分になりました。

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 沼田城址からはリンゴ農園が立ち並ぶ様子を見ながら、吹割の滝へ。日本ロマンチック街道を通ると決めるまでは全く知らなかった滝ですが、街道沿いにはお土産物屋さんも多く結構な観光地でした。街道の裏から河原にむかって進むとすぐに滝が目に飛び込んできました。案内番で滝を確認すると「鱒飛(ますとび)の滝」でした。 

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 河原へと続く階段を降りると、滝のすぐ側まで行く事が出来ます。吹割の滝よりは幅が狭いですが、岩の割れ目へ勢いよく川が流れ込んでいく様は迫力があります。

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 この鱒飛の滝から吹割の滝、そして浮島のあたりまでは川に沿って歩くことができます。水音や涼やかな風を感じて歩くのはとても気持ち良いです。

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 「吹割(ふきわれ)の滝」も目前で見ることができますが、幅が大きいので、全体を見るには少し離れた場所から見る方が良い感じでした。私は写真に撮ったアングルが渓谷の様子も分かって気に入りました。この周囲を一周する遊歩道も整備されているので、様々な角度から滝を楽しむこともできます。

 

 吹割の滝を後にしてからは、日本ロマンチック街道を日光へ向かってひた走り。標高がグングンと上がり、ひんやりした空気と白樺の生い茂る景色の良い山道を楽しみながら進みました。金精トンネルを抜けると湯ノ湖そして戦場ヶ原と奥日光おなじみの景色が飛び込んできます。

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 「竜頭(りゅうず)の滝」は滝上の駐車場に車を停車し、ゆっくりと滝を眺めながら階段を下りました。水量が多く、勢いある水の流れにびっくりです。吹割の滝とは雰囲気が全く違い、荒々しい滝です。

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 滝つぼまで降り、正面から割れた滝を眺めていると、岩が竜の顔に見えてきました。

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 続いて、湯滝へ向かいます。こちらも滝の上、湯ノ湖の畔に車を止めました。車から降りると硫黄の匂いが漂い、「温泉地に来た!」という雰囲気になりました。湯滝は山を駈け下るような滝でした。滝沿いに歩道が整備されていますが、急勾配の階段の連続で、一山を降りるようなほどの長い階段でした。下まで降りると登るのはしんどいため、半分ぐらいで引き返しました。半分の場所からでも滝つぼが全く見えませんでした。

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 日光湯元温泉では乳白色の温泉をたっぷりと堪能し、地元の味覚をたっぷり食べ、ゆったりとした夜を過ごしました。翌日は朝から小雨でしたが、湯ノ湖周辺は視界良好で、観光には問題ないと思っていたのですが…中禅寺湖畔を走り、「華厳(けごん)の滝」に近づくと…大雨に霧が漂い始めました。駐車場入り口に"濃霧発生中・滝が見れない場合あり"との注意書きがありましたが、駐車場付近は霧があまり濃くなく、大丈夫と思って無料の展望台へ滝を見に行くと…音はすれど、滝は見えず…一面が真っ白な世界が広がっていました。それでも、待つこと数分、霧が薄まった隙間から、ようやく滝が姿を現しました。普通に見るより、感動しました。

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 無事、華厳の滝を見て、いろは坂を下り、最後は日光山内へ。この頃には雨も止み、薄日がさしてきて、散策にはもってこいの日よりとなりました。

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 世界遺産のマークが刻まれた石碑のある参道から入り、まずは「日光山輪王寺」へ。輪王寺の三仏堂は漆の塗り替えが終わり、その期間修復に出されていたいう千手観音と馬頭観音が戻り、阿弥陀如来とあわせて本尊である三仏を一堂に見ることができました。商売上手な僧侶の案内を聞きながら三仏堂に入ると、三仏の真下まで行く事ができ、大きさや細部の作りを細かく見るみることができ良かったです。

 次に「日光東照宮」へ。以前見た『ブラタモリ』を思い出しながら、遠近法や敷石の様子なども観察しました。数年前に色を塗り直したことで話題になっていましたが、日光は雨が多い土地柄なそうで、すでに色あせてきていて、思っていたよりは鮮やかではありませんでした。

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 写真は陽明門の屋根の一部です。細工や掘りの手の込んだ様は陽明門に限らず、至る所で見られました。遠目で見ると質素な雰囲気ながら、細部を見ると贅沢な造り。徳川家の威信が感じられる神社だなと改めて感じました。

 本来であればこの後、二荒山神社へ回る予定でしたが、満腹となってしまったため、次回への楽しみとしました。また、杉並木公園周辺など杉並木も歩いてみたかったのですが車で通りすぎるだけとなりました。こちらも次回、ぜひ行ってみたいです。調べれば調べるほど、日光は見どころ沢山ということが分かりました。近いうちにまた訪れたいです。

 

映画『TENET テネット』

監督:クリストファー・ノーラン

出演:ジョン・デビッド・ワシントン/ロバート・パティンソンエリザベス・デビッキ

製作国:アメリ

製作年:2020年

 

物語:

満席の観客で賑わうウクライナキエフオペラハウスでテロ事件が勃発し、特殊部隊が館内へ突入する。部隊に参加していた名もなき男(ジョン・デビッド・ワシントン)は捕らえられ、自白を迫られ、毒薬を飲む。しかし、その薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた名もなき男はキーワードが<TENET(テネット)>と言うミッションに挑む。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。未来では"時間の逆行"と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へ移動できるようになっていた。

 

感想:

クリストファー・ノーラン監督作品の「インセプション」を見て、世界観に圧倒され、その後も続けて見ています。しかし、今回の作品は映像が凝りすぎていて、疲れてしまいました。話は単純化するとタイムマシーンを使い時間を巻き戻しながら真実にたどり着くというものなのですが、映像のスピードとアクションの多さで状況把握についていけず…、また、逆転、逆転と考えていると頭はパンク状態。頭が疲れすぎてしまいました。あまり色々考えずに映像だけを追って楽しんだら良かったかも…と思いました。見る人によって印象だったり楽しみ方が変化しそうな作品だなぁと感じました。

箱根小旅行

2020年6月24日(水)、車で箱根まで日帰り旅行をしてきました。

今回のコースはポーラ美術館→箱根芦ノ湖スカイライン→箱根関所→恩賜箱根公園。

 

ポーラ美術館は仙石原の森に囲まれた美術館です。入口も緑に覆われて、美術館とは思えない雰囲気です。

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ポーラ美術館では現在「モネとマティスーもうひとつの楽園」が開催中。

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本来は海外の美術館からも作品が出品される予定でしたが、新型コロナウィルス感染症の影響で作品が届かず、国内の美術館の作品のみで構成されていました。日本国内に展覧会が問題なく開催できるほどの多数の作品があることに感心しました。モネの作品をじっくりと鑑賞したのは初めてで、思っていたよりタッチが粗いなと思ったり、近くで見るのと遠くから見るのとでは印象が違ったりと、様々な発見がありました。マティスの絵は平面的なようで立体感がある不思議な感じがしました。切り絵や挿絵なども手掛けていて、多彩な人であることが知れました。

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ポーラ美術館は名前の通り化粧品で有名なポーラが作った美術館のため、化粧道具の収集も行っています。今回は新しく収蔵された「フェルナン・レジュー鏡を持つ女性ー(上・写真)」を記念して、手鏡の展示があったり、同時に活躍した工芸作家ルネ・ラリックのデザインによるガラスの香水瓶(下・写真)などの展示も行われていました。

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ポーラ美術館を出て、箱根芦ノ湖スカイラインへ。車が少なく、とてもゆったりした気分でドライブが出来ました。この日は梅雨真っただ中のため、空には雲が多く、残念ながら富士山は雲に覆われてほとんど見ることが出来ませんでした。しかし、箱根芦ノ湖展望公園から見た芦ノ湖の風景は空の青と芦ノ湖の青が輝いていて、とても素晴らしかったです。今回、様々な所から芦ノ湖を見ましたが、この景色がピカイチでした。

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箱根関所は復元されて展示されているのをテレビで見てから一度は訪れたいと思っていました。時代小説を読むとたびたび登場する箱根関所。復元されたのを見ると思っていたより狭いなと思いました。しかし、周囲は厳重に柵が設けられ、役人と対面することになるこの場所を、昔の人はとても広くそして長く感じたのかもしれません。小説を読む時にもっともっと想像が膨らみそうです。

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最後に箱根関所の直ぐ側にある恩賜箱根公園にむかいました。元は離宮だった場所で、小高い丘の上にあり、中央の広場にある湖畔展望館より芦ノ湖が展望できます。今回は行行きませんでしたが、公園の先端には2ヶ所に展望台もあり、様々な景色が楽しめる感じでした。久々に遠出をして、多くの自然に触れられて、リフレッシュできました。

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映画『ストーリー・オブ・マイライフ/    わたしの若草物語』

監督:グレタ・ガーウィグ

出演:シアーシャ・ローナンエマ・ワトソン/フローレンス・ピュー/エリザ・スカンレン

製作国:アメリ

製作国:2019年

 

物語:

19世紀アメリカ。情熱家だが短気でカッとなりやすいマーチ家の次女ジョー(シアーシャ・ローナン)は小説家を目指しニューヨークで執筆活動をしている。ある日、三女ベス(エリザ・スカンレン)の病状が良くないという知らせを受け故郷に戻る。控えめで美しい長女メグ(エマ・ワトソン)、生意気盛りの四女エイミー(フローレンス・ピュー)、4姉妹で過ごした日々が思い起こされていく。

 

感想:

若草物語はアニメ『愛の若草物語』や1994年ウィノナ・ライダー主演の『若草物語』を見ていますが、物語が思い浮かばず、浮かんでくるのはとても個性的な4姉妹の性格だったり行動だったり…

今回の若草物語はそれぞれ別の道を歩み始めた4姉妹と有名な少女時代のエピソードが交錯しながら話が展開していきます。「あんなことがあった!」「こんなこもあった!」と思い出しつつ、大人になった4姉妹の物語も楽しめるという、とてもお得な内容です。

残念だったのは少女時代も大人になってからも、同じ女優が演じているため、過去と現在がわかりにくかったこと。また、原作では12歳であるエイミーを貫禄あるフローレンス・ピューが演じるには無理がありすぎます。この物語の中で一番成長しているのエイミーだと思うので、子役を抜擢してほしかったなと思いました。

女性の誰もが自分の少女時代と重ねながら、いつの時代も楽しめる、だから若草物語はいつまでも愛されるのだと感じる事が出来ました。

 

柚月裕子著『滋雨』

【作品紹介】

収録作品:「滋雨」

出版社:集英社文庫

初版発行:2019年4月25日

物語:

 群馬県の警察官を定年退職し、妻と共に四国巡礼の旅に出た神場(じんば)。

 巡礼中に飛び込んできた群馬県で起きた少女誘拐殺人事件。

 16年前に自ら捜査にあたった事件に酷似していることに驚く。

 神場の胸には過去の事件への悔恨が沸き上がっていく。

 

【感想】

 普通の刑事小説と違い、主人公の神場は事件中も現場には行かず、後輩と連絡を取りながら事件捜査には協力はするも、徒歩での四国巡礼を続ける、ちょっと変わったスタイルとなっています。私は四国巡礼をしたことはありませんが、巡礼することで、様々な気持ちと向き合い、自分を見つめ直すことができるのかなと思います。神場も警察官としての人生を振り返っていくうちに、事件のヒントを得たりします。どんなことをきっかけに事件が解決するのか、16年前の事件がどのように関わっているのか、神場の人生をたどりながら、推理して読む展開は新鮮な感じでしたし、どんどんと物語に引き込まれました。

   

秋山香乃著 『氏真、寂たり』

【作品紹介】

 収録作品:「氏真、寂たり」

 出版社:静岡新聞社

 初版発行:2019年9月20日

 物語:

     「東海道一の弓取り」評された今川義元の嫡男として生まれた氏真。

  幼き頃より立派すぎる父に及ばないと常に思い日々を過ごしていた。

  桶狭間の戦いで義元が討ち死にし、今川家を背負うも弱体化がすすむ。

  何とか名門今川家を存続させようと、屈辱にまみれ奮闘していくうちに、

  自分の生き方を見つけていく。

 

【感想】

 今川氏真というと、2017年の大河ドラマ「直虎」で尾上松也が演じていた氏真像が思い浮かびました。武士というより貴族の雰囲気で、戦いより蹴鞠を好み、名家を潰しただけ息子的なイメージです。しかし、ドラマでは直虎に立ちはだかる悪役。そのままには受け取っていませんでしたが、やはり、凡庸な人ではと思っていました。

しかし、この小説で氏真の行った戦いの数々、家が滅亡した後も徳川家康から利用価値ありと認められ江戸時代まで生きぬくその手腕を読み進めるうちに、イメージががらりと変わりました。やはり立派すぎる父・武田信玄を持った武田勝頼は最後は自害して果てる結末とは対照的です。どうしても家を滅亡させたという悪いイメージが先行しますが、今では歴史上に名を連ねる戦国武将の中で桶狭間という大ダメージを受けてから8年間も家を存続させたのは単なる凡庸な人に出来る事ではないなと感じました。

仲睦まじい夫婦であったこと、幼少期を共に過ごした家康との関係など、氏真の人間味あふれるエピソードが満載であり、教養も武力も兼ね備え、本当に魅力あふれる氏真がいます。この一冊で大変興味ある人物になりました。

パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」

【鑑賞データー】

パリ・オペラ座バレエ団 「ジゼル」全2幕

振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー(1841)

改訂振付:マリウス・プティパ(1887)

                パトリス・バール、ユージン・ポリャコフ(1991)

音楽:アドルフ・アダン

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

指揮:ベンジャミン・シュワルツ

 

日時:2020年2月27日(木)19:00開演

劇場:東京文化会館

座席:D席4階

配役:ジゼル(ドロテ・ジルベール)

   アルブレヒト(マチュー・ガニオ)

   ヒラリオン(オドリック・ベザール)

   ミルタ(オニール八菜)

 

【物語】

内気で病弱、でも踊ることの好きな村娘のジゼルが恋に落ちたのは、貴族の生活のしがらみから逃れてお忍びで村に訪れていた青年アルブレヒト。ジゼルに思いを寄せるヒラリオンによって、アルブレヒトの背景が明らかになった時、ジゼルの心は崩壊し、死がおとずれます。ジゼルの墓を訪れたアルブレヒトは夜の森を支配する女王ミルタが率いる魔性の精霊ウィリたちに囚われます。ウィリとなったジゼルでしたがアルブレヒトを守ろうとします。

 

【感想】

一度は見てみたいと思っていたパリ・オペラ座バレエ団の「ジゼル」。ドロテ・ジルベールマチュー・ガニオのコンビで踊るとあって、とても楽しみにしていました。

情緒的ではありますが、テクニックのあるスピーディーな踊りも多く、静と動がバランスの良いなと感じました。全幕を通して見ると物語の流れが分かり、1つ1つの踊りの意味がより伝わってきて、より内面を感じることができました。全幕を見る素晴らしさを改めて感じました。

ダンサーたちの踊りも本当に素晴らしかったです。特にドロテ・ジルベールの軸がしっかりとして安定感とキレが抜群、加えて柔らかく繊細、明るい1幕目と暗い2幕目の踊り分けも見事でした。特に2幕目は精霊となり、リフトの際もふわふわと浮いているかのように手足を動かし踊り、マチュー・ガニオのしっかりとした支えとドロテ・ジルベール体幹の強さによって生み出されているのかなぁと感嘆しました。マチュー・ガニオはエトワール昇進直後の若々しい踊りが強烈に焼き付いているのですが、すでに30代半ばとなり、落ち着きと円熟味が出て、様々な表現が感じられるようになりました。新しいマチュー・ガニオに出会った気分でした。ミルタを踊ったオニール八菜も登場場面が印象的で、音もなくスーッ動いていく姿は本当に精霊が出てきたように不気味で、ウィリの怪しい世界に一気に引き込まれました。それ以外のダンサーたちの踊りも綺麗で、さすがパリ・オペラ座バレエ団!という舞台でした。

映画『パラサイト 半地下の家族』

監督:ポン・ジュノ

出演:ソン・ガンホ/イ・ソンギュン/チョ・ヨジョン/チョ・ウシク/パク・ソダム

製作国:韓国

製作年:2019年

 

物語:

キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、友人の紹介で、長男ギウ(チョ・ウシク)がIT企業のCEOであるパク氏(イ・ソンギュン)の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。見事、合格し、信頼を得ていく。そして妹ギジョン(パク・ソダム)も、兄に続いて職を得て豪邸に入り込むことに成功する。そして、次は…。

 

感想:

「過ぎたるはなお及ばざるが如し」という言葉が何度も頭をよぎりました。家族全員が失業している貧しい生活から逃れよう奮闘しすぎるキム一家、事業が成功し裕福な生活を手に入れて貧しい人々の気持ちに寄り添えず裸の王様と化しているパク夫妻。全く異なる家族ですが、どちらにも冒頭の言葉が当てはまる、コインの裏表のような存在です。

物語は豪邸と半地下の家を舞台にした2つの家族のやりとりを中心に進んでいきます。比較的、狭い空間で進行していきますが、ミステリアスな雰囲気に溢れ、物語の先が常に気になる展開ばかりで、退屈を感じませんでした。物語の組み立てが絶妙なのだろうなと思いました。そして上手に社会性を盛り込んでいます。この映画がカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したのも頷けます。

映画『リチャード・ジュエル』

監督:クリント・イーストウッド

出演:ポール・ウォルター・ハウザー/サム・ロックウェルキャシー・ベイツ

製作国:アメリ

製作年:2019年

 

物語:

1996年、アトランタで開催されたオリンピックで爆破テロ事件が発生する。警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が爆弾の入ったバッグを発見したことで、多くの人々の命が救われた。だがFBIは、爆弾の第一発見者だということを理由に彼を容疑者と調べ始める。そんな中、メディアがその情報リークし瞬く間に犯人扱いされ日常生活が脅かされる。リチャードは昔知り合った弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)ともに無実を晴らす戦いを始める。

 

感想:

アトランタオリンピックの時にそのような事件があったとは全く記憶にありません。しかし、アメリカではオリンピック開催中の出来事であり、とても話題となっていたことは想像に難くありません。しかし、第一発見者を疑うのは分かりますが、イメージだけで容疑者の疑いを膨らませ、捜査とは知らせず、善良な心を利用して騙すように容疑者に作り上げていくFBIの手法。日本も免罪が多いと言われていますが、アメリカも同じようなものだなと感じました。ただ、権利を主張するとしっかりと認められ、弁護士がきちんと戦略を持って戦えば無罪が認められるところが違うように感じました。

リチャード・ジュエルは個性的な考えを持っていて、ちょと気持ち悪いと感じる部分も描かれています。それだけで偏見を持ってはいけない。事実だけを見て公正に判断することが大切というメッセージを丹念に淡々と描くクリント・イーストウッドらしい映画だと思いました。

第88回全日本フィギュアスケート選手権大会 ペア・女子FS

【観戦データー】

 観戦日時:2019年12月21日(土) 16:25試合開始

 会場:国立代々木競技場 第一体育館

 座席:スタンドA(北)

 

【試合結果】

 ペア:1位 三浦璃来/木原龍一

    (出場は1組)

 女子シングル:1位 紀平梨花  2位樋口若葉  3位川畑和愛

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【感想】

 上写真中央に白く輝く国立代々木競技場にて、試合は行われました。紙チケットを選択したので、入場前に本人確認を行い、手にテープを巻かれました。これほど本人確認が徹底しているイベントの参加は初めてでびっくり。それだけフィギユアスケートの人気が高いということなのでしょう。

 都合で観戦は女子シングルの第2グループから。すでに会場はほぼ満員でした。この大会は花束やプレゼントが一切禁止されているため、試合が淡々と進んでいきます。やはり、少し盛り上がりに欠ける気がしました。しかし、次の選手にとっては好きにウォーミングアップができるので良さそうです。

 全日本フィギュアスケート選手権大会は初めての観戦ですが、レベルの高さにびっくり。みんな3回転ジャンプをポンポンと跳び、表現力もまずまず。明らかな失敗も1つ~2つぐらいしかないことが多く、大舞台で実力を出し切る選手ばかりですごかったです。観客も国際試合とは違って、成長を見守る保護者的な雰囲気でとても温かさを感じました。

 試合の方はフリーで圧巻の演技を見せた紀平梨花が優勝。ジャンプはもちろんですが、難しい曲調もしっかり音楽に乗って滑れるのが凄いなと思いました。2位は少しのミスに留めた樋口若葉。6分間練習でも調子の良さを見せていましたが、試合にそのままつなげ、高さと迫力あるジャンプを決めていました。3位はジュニアの川畑和愛でした。柔らかいスケートとフワフワとしたジャンプ。観ていてうっとりとするような演技でした。宮原知子と坂本花織が崩れての表彰台でしたがお見事でした。

 外に出ると、表参道の並木のライトアップがきれいに輝き、観戦の感動と相まって、素敵な夜になりました。

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