虹色空間から~

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小説 城山真一『看守の流儀』

【作品紹介】

 収録作品:看守の流儀

 著者:城山真一

 出版社:宝島社

 初版発行:2019年12月23日

 物語:

  金沢市郊外にある「加賀刑務所」を舞台に、刑務官たちが刑務所内外で起こる

  事件や難題に悩みながら奔走する姿が5つの物語を通して描かれる。

 

【感想】

 刑務所は縁遠い世界と思っているので、分厚いベールに覆われている場所という感覚です。全てがミステリアス。そんなミステリアスな世界で起こる事件は輪をかけてドキドキするミステリーです。さらに、有名歌手の三上順太郎が入所したために担当刑務官として火石司が特別に配属されたという謎も潜んでいます。多くのミステリアスを抱えながらも物語は人の心の奥を探るような人間ドラマとして進んでいきます。刑務官は監視役というイメージが強かったのですが、受刑者をいかに更生させるのかに主眼をおいて日々接している当たり前のことに気づかされました。個性豊かな刑務官たちから垣間見える受刑者たちにも様々なドラマがあり、更生への道のりは誰にとっても険しく長い…更生を生を歩んで人に出会ったら、拒絶だけはしないように…と思いました。最後まで読むと三上と火石の謎も明かされ、小説としてはすっきり感がありとても良かったです。