虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

映画「鉄くず拾いの物語」

監督:ダニス・タノヴィッチ
出演:セナダ・アリマノヴィッチ/ナジフ・ムジチ
製作年:2013年
 
物語:
ボスニア・ヘルツェゴヴィナに暮らす一家は貧しくも幸福な日々を送っていた。ある日、妻セナダ(セナダ・アリマノヴィッチ)は3人目の子供を身ごもる。しかし、激しい腹痛に襲われ病院へ行くと、流産で手術をしなければ危険な状態と言われる。保険証を持っていないため、高額な手術代を請求される。夫・ナジフ(ナジフ・ムジチ)は鉄くず拾いで生計を支えているため、手持ちのお金もわずかで、手術代をすぐには支払えない。そのため、手術を拒否され、自宅に戻るしかなかった。ナジフは何とか手術ができないか、行動を始める。
 
感想:
ボスニア・ヘルツェゴヴィナが物語の舞台ということは映画を鑑賞した後に知りました。激しい内戦が繰り広げられていたことが記憶に新しいです。新しい国なので、セフティーネットがまだまだ出来上がっていないのは仕方がないのかもしれませんが、「お金がないなら治療はできません」と病院だけでなく、福祉事務所まで同じような回答をするなんてびっくりでした。でも、戦前の日本も同じような状態があり、現在の日本でも入院時に前払い金をとられるなど、どこにでもある話なのだなと感じることができました。
さらに、セナダとナジフの夫婦はお金がないたけではなく、ロマという少数民族であることが、影響している可能性をサラリですが描かれています。映画では深く掘り下げられてはいませんが、ボスニア・ヘルツェゴヴィナではロマを含む少数民族は選挙に立候補する機会も与えられていないとのこと。民族差別が根強くある土地柄のようです。そのためなのか、冷たい仕打ちをされても夫婦は怒りをぶちまけるなどはせず、哀しみを抱えつつ家に戻っていく。やるせない気持ちなりました。
貧しくても日々まじめに暮らしている人々がね病気や障害をもっても安心して誰もが暮らすことができる社会のあり方が大切ということを改めて気づかされました。