虹色空間から~

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映画『柘榴坂の仇討』

監督:若松節朗
製作国:日本
製作国:2014年
 
物語:
彦根藩の下級武士、志村金吾(中井貴一)は駕籠の守りを固める務めていた。「桜田門外の変」で敵を追って持ち場を離れた隙に、敬愛する主君・井伊直弼(中村吉右衛門)の命を奪われてしまう。金吾の犯した罪は重く、切腹さえ許されない。ひと月後、藩は金吾に「逃亡した水戸浪士どもの首の一つも挙げて、直弼様の御墓前にお供えせよ」との命を下す。そして、13年の歳月が流れ、時代は明治へ移り、仇討を命じた彦根藩もすでになくなった。だが、金吾はひたすら仇を探し続けていた。
 
感想:
映画は淡々として地味、というのが全体の印象です。「桜田門外の変」という歴史的にドラマチックな大事件から幕があがるのですが、主人公である志村金吾の回想として描かれているためか、、襲撃が日常の1コマのようで、導入シーンとしての位置づけとなっていました。
13年後、明治となり世の中が一変しても、金吾は武士の矜持をつらぬき仇をひたすら探し求めます。内に秘めた強い思いを静かに描いていきます。ひとつ間違うと眠りに誘われそうな雰囲気満載ですが、中井貴一阿部寛という、画面に映るだけで存在感があり、何かが起こるのでは?とドキドキさせてくれる俳優が物語を引っ張るので、画面に引き込まれ観ることができました。
そして、クライマックスの柘榴坂でのシーンは、淡々とした、緊張感のあるやりとりが、中井貴一阿部寛との間で交わされる中で、秘めた盛り上がりがドンドンと高まって行きました。
俳優の演技で映画を盛り上げるという、質の高いすばらしい作品だなと思いました。