虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

リンカーン

製作国:アメリ
製作年:2012年
 
物語:
エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入したが、彼は奴隷制度を永遠に葬り去る合衆国憲法修正第13条を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意があった。そのためにも、国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)らと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出す。
 
感想:
映画は暗い雰囲気で、悲惨な南北戦争の様子、憲法奴隷制廃止を盛り込む修正案を可決できるかという議会を舞台にした工作の様子、など下手すると淡々として飽きてしまいそうな要素がいっぱいでしたが、作り方が上手です。話が込み入ってくると笑いを誘うシーンが入ってきたり、動きがなく平穏な感じが続くと緊迫シーンを入れたり、何気ないシーンに振動音が挿入され、ドキドキ感を持続させたり、飽きさせないすべを知っているなぁと思いました。
ダニエル・デイ=ルイスはとても魅力的なリンカーンを演じていました。傲慢で自分の考えを押し通す姿、何が正義なのかを常に悩む姿、話術で人を引き込む姿、一般の人と親しく接する姿、様々な面を持つ複雑な人物像を描き出していました。リンカーンと言う今まで名前しか知らなかった人物をもっと知りたいと思いました。
映画の中心となったのは憲法修正をめぐる駆け引き。下院議員の3分の2以上が必要で、ハードルが高く、可決するのは至難の業です。様々な裏工作や隠蔽工作が繰り広げられるのですが、正義と信念のために確固たる意志を持ち、修正案を通そうとしています。現在日本の憲法改正論議との違いを感じました。憲法を改正しやすいために3分の2の賛成が必要という項目を修正するなんて、姑息な手段。堂々と修正が必要な条項について、なぜその修正が必要なのかを説明し議論をつくべきと映画を観ながら感じました。