虹色空間から~

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歌舞伎座新会場 柿葺落四月大歌舞伎 第一部

鑑賞日:2013424
劇場:歌舞伎座
 
演目とあらすじ:
【壽祝歌舞伎華彩 鶴寿千歳】
宮中慶事を寿ぎ、いつまでも色変わらなぬ松の緑にあやかるようにという願いを込めて、女御(中村魁春)と公達の春の君(市川染五郎)が舞い始める。ふたりの祝祭の舞に続き、宮中の男と女も祝賀の舞を舞うと一羽の鶴(坂田藤十郎)が舞い降り、ともに舞う。
 
【十八世中村勘三郎に捧ぐ お祭り】
今日は赤坂の日枝神社山王祭である。それに加えて、新しい歌舞伎座の柿葺落とあって、大江戸中の人々の心は浮き立っている。屋台囃子が聞こえ、鳶頭たち(坂東三津五郎中村橋之助坂東彌十郎中村獅童中村勘九郎片岡亀蔵)や芸者衆(中村福助中村扇雀中村七之助)が華やかな雰囲気の中で、江戸の情緒を賑やかに踊る。
 
【一谷嫩軍記 熊谷陣屋】
 平清盛の死後、勢力の衰へ西国へと落ち延びる平家一門を追う源義経(片岡仁左衛門)は「江南所無也(こうなんしょむなり)。伐一枝者可剪一指(いっしきをきらばいっしをきるべし)。」と書かれた高札を熊谷直実(中村吉右衛門)に与え、一谷へと出陣する。
舞台は熊谷直実の陣屋。直実の留守に妻の相模(坂東玉三郎)が初陣を飾った息子の小次郎の身を案じ陣屋を訪れる。戻った直実は戦場にやって来た相模の不心得を叱る。それに対し、相模は小次郎が敵方の大将と戦って討死をしたら嬉しいことであると言う。そこで直実は小次郎が先陣の手柄を立てたこと、自分が敦盛を討ち取ったことを話す。そこへ平経盛の北の方である藤の方(尾上菊之助)が姿を現し、直実に斬りかかる。藤の方は昔、相模と直実の仲を助けてくれた恩人であり、敦盛(実は後白河院の子)の母であった。我が子を失った藤の方が嘆き悲しんだ後、義経が現れ首実検をすると告げる。直実は高札を引き抜き、義経の前に差し出し、首桶の蓋を開けると、そこにあったのは小次郎の首であった。義経が敦盛を救おうと考え、高札を立てたことの真意を覚った直実は我が子を身代わりにしたのだった。世の無常と悲哀を感じた直実は僧となって旅に出る。
 
感想:
新しい歌舞伎座の開場公演ということで、玄関前から華やいだ心が浮き立つ雰囲気に満たされ、劇場のすべてがキラキラピカピカと真新しく、客には着物姿でご挨拶している常連客らしい人々も多く、晴れ舞台を見に来たというワクワク感でいっぱいになりました。
席は3階席。昔の歌舞伎座では3階席に座ったことはなかったのですが、舞台が近くてびっくりでした。役者さんの顔の表情が良くわかります。また、花道も役者が立ち止まって演じる部分をしっかり見ることができ、声だけ聞いてジリジリするようなこともなく、とても見やすい作りだなと思いました。
最初の演目の祝いの舞は本来であれば市川団十郎も踊る予定でした。幕が上がると、盛大な拍手が贈られ、ワクワク感が頂点に達し、劇場中が喜びにあふれた感じとなりました。祝いにふさわしい華やかさのある舞でしたが、団十郎がいれば、強い迫力が加わり、とてもインパクトのある舞台だったのではと思うと残念な気持ちです。しかし、坂田藤十郎の優雅な舞は開幕にふさわしかったです。
次の演目は中村勘三郎に捧ぐとされ、幕があがると「中村屋!」と多くのかけ声がかかりました。賑やかな楽しい踊り比べが展開されます。観客の心を一番つかんでいたのは勘九郎の子供でした。まだとても小さくて、大人の踊りを時々真似して、子供らしいかわいい仕草がより舞台を賑やかにしていました。様々な役者が踊りを披露しましたが、ピカイチは坂東三津五郎。ひとつひとつの動作にキレがあり姿がとてもキレイでした。
最後は悲哀もの。私の大注目は初めて目にする坂東玉三郎。後姿がとても美しかったです。雰囲気もどっしりしていて、ひとつひとつの仕草や指先の動きまで神経が行き届いているなと感じました。舞台の内容はと言うと、朝から気合が入っていたためか、言い回しの多いこの舞台で途中睡魔が襲ってきて、見せ場の首実検の部分の記憶がとびとびとなり、我が子の首をかわりに差し出した最大の盛り上がりシーンを堪能できませんでした。まだまだ、修行がたりません。
それでも、特別な舞台を見たという満足感に溢れ歌舞伎座を後にしました。