虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

映画『あん』

監督:河瀨直美
製作国:日本・フランス・ドイツ
製作年:2015年

物語:
どら焼き屋「どら春」の雇われ店長として仕事をこなす日々の千太郎(永瀬正敏)は店に張り出した求人募集の張り紙を見て働くことを懇願する一人の老女、徳江(樹木希林)と出会う。最初は断りを入れるが、徳江の作って来た『あん』の美味しさに驚き、どら焼きの粒あん作りを任せることにすると店は大繁盛。しかし、徳江の曲がったままの指がハンセン病患者ではとのうわさがたち、客足が途絶えだす。

感想:
役者の演技を静かに捉え、演技の積み重ねで物語を作っていく、あまり抑揚がなく淡々とした雰囲気が河瀨監督らしい作品だなと思いました。
原作を先に読んでから観ていたので、映画の物語で語られない背景などを思い浮かべながら観れて、よく深められたと思う一方、原作を読んでいない人には???と、物語の流れがつかめないのでは?と思う場面もところどころありました。普段は映画を楽しみたいので原作を読まないようにしているのですが、今回は読んでいて良かったです。
ハンセン病については子供の頃から知っていて、感染病だけど菌はとても弱く健康だったり、清潔にしていたらうつることはないと聞かされましたが子供心には感染病と言う言葉が怖く感じました。大きくなって、インフルエンザや結核など世の中には感染症がたくさんあって、人は常に感染するリスクがあり、ハンセン病もたくさんある感染症の1つということが分かったので、今は全く怖さはありません。しかし、過去に国策として強制隔離を行ったことで、その当時を生きた人々に恐怖を植え付け、今なお差別されることがある現実を思うと悲しさと同時に、人の心を変化させる難しさを感じます。この映画が差別に対する誤解を紐解く一歩になると良いなと思いました。