虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

風立ちぬ

監督:宮崎駿
声の出演:庵野秀明瀧本美織西島秀俊/西村雅彦/大竹しのぶ野村萬斎
製作国:日本
製作年:2013年
 
物語
幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎(庵野秀明)は、震災の混乱の中で、少女・菜穂子(瀧本美織)と運命な出会いを果たす。やがて飛行機設計技師として就職し、その才能を買われた二郎は、同期の本庄(西島秀俊)らとともに技術視察でドイツや西洋諸国をまわり、見聞を広めていく。そしてある夏、二郎は避暑休暇で訪れた山のホテルで菜穂子と再会。やがて2人は結婚する。
 
感想➀
ますば初日に鑑賞しました。宮崎駿監督の作品でこんなに頭で考えてみたことがあったかな?と思えるほど上映終了後は頭が疲れていました。いつもは、わくわくどきどき、おー、と思っているうちにエンドロールが流れている感じなのですが、この作品では、ふ~ん、わぁ~、なるほど、そうかぁ~、などひとつひとつのシーンごとに意味を見出しながら観て少し映画が長く感じました。堀越二郎がどのように青春時代を過ごしたのかというドキュメンタリー調の雰囲気がするストーリーで、映画では○○が起こったというような説明はなく、堀越二郎が体験したままを淡々と描いています。時代背景がある程度知って堀越二郎の生き方や人となりを理解したいとの思いが湧き上がるため、少ない情報から推測し組み立てるさ作業をしていまい、頭を使いすぎてしまったようです。実写映画に近い感覚の作品だなぁと思いました。
実写映画近いと言えば、すばらしい色彩豊かな風景画です。列車が畑の中を走っていくシーンや流れゆく雲のシーンなど、あげればきりがないぐらいです。実物以上の感動を与えてくれて、特に田園や自然の風景は気持ちをホッとさせてくれます。もちろん、アニメらしくかわいいシーンや思わずニンマリしてしまうようなシーンも織り込まれています。宮崎駿監督ならでは雰囲気もたっぷりと満喫できました。
 
感想②
もう少し深く作品を理解してみようと2回目の鑑賞に出かけました。物語は分っているので、気になったこと、聞き逃したこと、に集中しました。様々なエッセンスがちりばめられていることに改めて気づきましたが、心に強く残ったキーワードは「風」でした。題名が『風立ちぬ』ですから、「風」が印象に残るのは当たり前なのですが、宮崎駿監督は過去の作品でも風をうまく描いているので最初に観た時はいつものようだなぁぐらいにしか感じなかったのですが、堀越二郎と夢を共有しているカプローニが「風はまだふいているかい?」と何度も問いかけるのを聞いて、夢を追いかけているかい?という意味がこめられているのかなと感じました。風は前に前にと押し出してくれる、後押ししてくれる、そんな力を持っているから。
最後のシーンでは問いかけはなく、様々な矛盾や葛藤を抱えながら夢へと突き進み、地獄のような結果を招き、突きつけられ、しかしそれでも生きていく決意をする堀越二郎に、今までテレビで観てきた戦争体験をしてきた人々の姿が重なりました。良いこと悪いことも受け止めて生きるのが人生、という大きなメッセージを伝えられた気がしました。