虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

映画「それでも夜は明ける」

製作国:アメリカ・イギリス合作
製作年:2013年
 
物語:
1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、妻と娘と息子、愛する家族とともに幸せな生活を送っていた。しかし、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。そこでは、奴隷としての過酷な日々が待っていた。
 
感想:
昨年奴隷制度の問題を扱い、やはりアカデミー賞の作品賞にノミネートされた、クエンティン・タランティーノ監督作品の「ジャンゴ 繋がれざる者」を鑑賞して、奴隷制度のすごさに衝撃を受けました。黒人を本当に物として扱い、それが当然で平然として生活している人々の姿がありました。なので、「それでも夜は明ける」で語られるであろう奴隷扱いは予測ができ、冷静に鑑賞することができました。
自由黒人であるソロモンは騙され、奴隷としてアメリカ南部に連れていかれ、初めて南部に住む黒人が置かれている現状を知ったのだと思います。もちろんアメリカ北部でも差別はあったでしょうが、黒人を所有物と考える南部の白人から受ける扱いに比べたら、天と地の開きがあったのではと思います。人がお金で公然と売買され、所有者からの暴力や殺害も罪にならない、地獄のような生活。深い絶望の中で唯一の希望は家族や友人に連絡をつけ、自由黒人であることを証明すること。家族に再び会うため、ソロモンは何とか生き延びようとします。
しかし、サロモンにはある希望が、全くないと言える南部生まれの奴隷黒人たち。彼らには死ぬことでしかこの地獄のような生活から逃れるすべはないのです。何のために生まれてきたのか?と思い続け死んでいった黒人たちが数多く存在したと思うと悲しい気持ちでいっぱいになりました。
このような映画を見ると、社会全体が正しいと思えば、人間の持つ狂気性が増幅され、大惨事を引き起こすことがあることを胸に止めていかなければと思います。いろいろ問題があっても現代の日本に住んでいる幸せを本当に感じました。