虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

里見蘭著『古書カフェすみれ屋と本のソムリエ』

【本の紹介】
収録作品:古書カフェすみれ屋と本のソムリエ
出版社:大和書房
初版発行:2016年4月15日
物語:二階建ての古い木造家屋のを利用した古書カフェすみれ屋。テーブル八席とカウンター九席のこじんまりしたカフェと奥に五坪の古書店が併設されている。おいしい料理を提供するオーナーのすみれと求めている本を探し出し提供する古書店の紙野は様々な悩みを持ち店に訪れるお客たちに解決の糸口へと導いていく。

【感想】
自分自身、本を読んで劇的に気持ちが変化したということはありませんが、読むと心を揺さぶられる体験をしたことは何度もあります。なので、紙野から差し出された本を読んで、考えを変えるきっかけになったと言うくだりを読むとロマンチックな気分になりました。この話が絶妙なのは古書店カフェが舞台だからです。カフェは話ができる場所、それもオーナーとも気軽に話せる場所とのイメージがあります。なので、来店するお客さんがすみれに悩みを打ち明けるのに違和感を感じられません。これが、古書店や図書館が舞台と考えたら、よっぽどの仲でなければ悩みを打ち明けようとは思いません…自分に置き換えても、ありえないな…と思います。カフェで打ち明ける身近な悩みだからこそ、そんなことあるよね、という気分にさせられ、本を読んで解決できることもあるかも…と思わせてくれます。
差し出される本のジャンルも様々で、自分が手に取ったこともないような本も登場するので、ワクワクした気分にさせられました。読みだすと止まらない、本の醍醐味も堪能し、素敵な本に出会えたなと思いました。