虹色空間から~

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須賀しのぶ著『また、桜の国で』

【作品紹介】
収録作品:また、桜の国で
出版社:祥伝社
初版発行:2016年10月20日
物語:1938年ポーランドワルシャワ。棚倉慎は特別な思いを抱いて、ポーランド大使館の外務書記生として赴任してきた。この時期のポーランドナチス・ドイツの侵攻に警戒してはいたが、ワルシャワの街は賑わい人々は普段通りの生活をしていた。日本とポーランドの友好を深めつつ、ドイツやソ連の情報を入手するよう働く中、ナチス・ドイツは破竹の勢いでポーランドを併合し、ワルシャワの街も大変貌をとげる。

感想:
第2次世界大戦のナチス・ドイツに関連した映画や本は多数見てきましたか、日本人の視点で眺め、自分とシンクロさせて見ることは今回が初めてかもしれないと思いました。
ポーランドの首都ワルシャワを舞台にナチス・ドイツの侵攻に始まり、終戦前のワルシャワ蜂起まで、ワルシャワがたどった悲劇が描かれます。日本人の外務書記生という比較的安全な立場の外部の視点で、客観的に世界や日本の流れとリンクさせながらワルシャワを見つめると、今の自分と比較的似た立ち位置となり、自分をシンクロできました。本の中には悲惨な様子はあまり描写的ではなく、簡単に触れる程度でしたが、強く衝撃を受けたりしました。現在、世界で起こっている紛争やシリアの問題など、非常に似通っている部分もあるなと感じて、世界は今も同じことを繰り返しているのでは?と思うと、情けない気分になりました。
ショパンのこと、ユダヤ人のことなども織り込まれ、読み応え充分の本ですので、ぜひ一読してみてはと思います。