虹色空間から~

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天ヶ森ガラス絵館を訪ねて

2017年5月25日・26日で、岩手花巻市遠野市を旅しました。目的は遠野の地が気に入り移住したガラス絵作家の故児玉房子さんのお手製の美術館「天ヶ森ガラス絵館」を訪れることでした。以前東京で開かれた個展に何度が足を運び、作品は良く見ていたので、一度は行きたいと思っていました。東京からだと東北新幹線新花巻駅で下車し、そこから電車又は車で1時間ほどです。
花巻と言えば宮沢賢治がとても有名です。児玉房子さんも宮沢賢治の童話を題材にしたガラス絵をたくさん描いていました。花巻には記念館や作品のモデルとなった場所やスポットなどが点在しています。せっかくなので、一か所ぐらい立ち寄ろうと「宮沢賢治記念館」へ行きました。新花巻駅を見下ろす山の上にあり、木々に囲まれたこじんまりとした記念館でした。入口ではかわいい猫がお出迎えしてくれました。

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館内に入り最初に宮沢賢治の生涯を簡単にまとめた映像を見ることができたので良かったです。上京していたことは知っていましたが、宗教活動を熱心にしていたことは知らなかったです。展示は「科学」「芸術」「宙(そら)」「祈」「農」の5つに分けられ映像と展示パネルを中心に紹介するかたちでした。様々な事に関心のあった人であることを改めて知りました。しかし、一度に目に飛び込んでくる情報量が多すぎて、何となく眺めるだけになってしまいました。その中でも印象に残ったのは絵も描いていたこと、生前に愛用していたセロが展示されていたことです。37歳という若さでこの世を去りながら、今なお注目される人でありつづける偉大さを感じました。

記念館を後にして、さっそく「天ヶ森ガラス絵館」へ車で向かいました。天ヶ森という山の北側に位置する小高い丘の上にあり、遠野駅からは車で20分ほどです。目印は観光名所である「遠野ふるさと村」。遠野駅方向から行くと「遠野ふるさと村」の手前にある猿ヶ石川の橋を渡り、突き当りを右に折れしばらく進むと目を凝らさないと分からないぐらいの案内板(一度は通り過ぎてしまいました)が見えてきます。写真は曲がり角に立つ家で、塀の所に左に曲がる案内板がついてました。

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ここで左に曲がるとすぐに同じ案内板が見えてきて、再度左に曲がると砂利の敷かれた林の中の小さな坂道に入ります。坂道をあがると「天ヶ森ガラス絵館」が姿を現します。

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周囲にあった木も利用して作った手作り感あふれる美術館は木々に囲まれ喧騒から離れ、とてもリラックスできる空間でした。看板はもちろんガラス絵で作られていました。

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美術館の中はガラス絵が所狭しとかけられ圧倒されました。ガラス絵は透明な板ガラスの裏から油絵具で描いて表側から鑑賞します。いつまでも絵具が綺麗なまま残り透明感ある絵となります。実物を見ると絵が輝いて見えて、素晴らしさを改めて感じました。

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  【天ヶ森ガラス絵館の紹介】
 住所:〒028-0633 岩手県遠野市附馬牛町下附馬牛大袋4-122-3
 電話:0198-69-8766
 開館日時:4月20日~11月10日(金・土・日・月) 10:00~16:00
 入館料:無料(本年より)


翌日は「天ヶ森ガラス絵館」の向かい側の山にある菅原神社に足を運びました。江戸時代からあるという小さい神社でした。今は管理が行き届いていないようで、参道の階段は草が生い茂っていました。鳥居をくぐると杉並木で神聖な場所に足を踏み入れた雰囲気になりました。

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次に「遠野ふるさと村」へ行きました。昔ながらの山郷の文化や暮らしが体験できます。映画やテレビの撮影も行われるよヴ、昨年の大河ドラマ真田丸」の真田の里の撮影が行われたとの案内と出演者のサインがありました。このありの家は特徴的な茅葺民家が多く、遠野のあたりの岩手県北は曲り家と呼ばれるL字に曲がった家が多く建てられました。人の居住空間から厩が見える作りで、常に馬の様子を確認できました。
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次に訪れたのは遠野駅に向かう途中にある法門山福泉寺です。一本彫りの大観音と線香が有名なお寺だそうです。大観音は山の上にあり、車で近くまで行けますが大人一人500円(徒歩の場合は300円)がかかります。結構な上り坂でしたので、足腰が弱い方は車が無難です。大観音は思った以上に高く、そびえ立つようでした。少し離れた位置から眺めるだけでしたので、細部が分からず残念でした。本堂の方は小さくひっそりと佇んでいて、側まで寄らないと分からないぐらいでしたが佇まいはとても良かったです。写真左は手前が大観音堂で奥が多宝堂、写真右は本堂です。
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最後に立ち寄ったのは花巻市東和町にある三熊野神社です。やはり急こう配の山を登った所にありました。三熊野神社は泣き相撲が行われる場所としてよくテレビにでて注目されますが、木造の毘沙門天も有名です。
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この毘沙門天は国の重要文化財に指定されています。もともと同じく重要文化財毘沙門堂(下写真)の中に置かれていましたが、保護のため新しく建てられた倉庫のような建物の中に現在はあります。見るためには大人一人500円かかりますが、中に入ってみました。最初録画してある音声が流れ、次に案内人が補足してくれるので、毘沙門天について詳しく知ることができました。平安時代中期ごろの作で、地天(産土神)の掌上に支えられているため兜跋(とばつ)毘沙門天と呼ばれます。木には少し色が残っていて、作られた当時のままだそうです。左手にある吉祥天は平安初期の作で、これも重要文化財に指定されています。穏やかな表情が印象的です。頭上には象の顔が二頭彫られていたり、手が込んだ作りになっていました。
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慌ただしく花巻市遠野市をかすめるように巡りましたが、東京では味わえないたっぷりの緑に触れることができ、思いがけない感動もたくさんした旅となりました。