虹色空間から~

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運慶 -興福寺中金堂再建記念特別展-

【鑑賞データー】
開催日程:2017年9月26日~11月26日
開催場所:東京国立博物館 平成館
鑑賞日:2017年10月11日

【感想】
会場に入ってすぐに奈良。円城寺の大日如来坐像が目に飛び込んできます。運慶のデビュー作と言われる作品です。穏やかな表情に凛とした佇まい、からだの曲線が滑らかで、本当に彫刻なのかと思うほどです。この像を眺めているうちに運慶の世界に張り込んで行きました。
運慶の事は名前だけしか知らなくて、仏師の家系に生まれ、父親・康慶も奈良・興福寺の法相六祖坐像などを作った凄腕の仏師ということを初めて知りました。この作品も展示されていて、1人1人表情が違い、写実的で威厳がある姿をしていて、六体が並ぶ姿は壮観でした。
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写真右側の静岡・願成就院毘沙門天立像や写真中央の和歌山・金剛峯寺八大童子立像うち制多伽童子など、どこかで見たことがある作品がずらりと並んでいましたが、一番心をひかれたのは無著菩薩立像(写真左)と世親菩薩立像です。鑑賞する前に見た雑誌で絶賛されていましたが、写真では薄汚いおじいさんの像がなぜ?と言う感じでした。しかし、目の前に立ち、姿を眺めると、存在感が際立ち、威厳があるのに、表情が何とも言えない優しさに満ち溢れていて、ずっと眺めていたと思いました。写真では感じえない慈悲と言われる表情が直に感じられ、薄汚れていると感じた色も年月を重ねた深みとして感じられました。像の周りをまわって様々な角度から見ることもでき、行ったり来たりしながらグルグルとまわってしまいました。この像を見ただけで、この展示会に来て良かったと思いました。
その他、印象に残ったのは愛知・滝山寺聖観音菩薩立像のまわりに風が舞っているかのような佇まい、運慶の息子・康弁作の奈良・興福寺の龍燈鬼立像で表現された筋肉の見事さなど、あげたら切りがないほどです。安置されている寺院とは違い、様々角度から、目前で像を眺められる、展示会ならではの良さを十分に堪能できました。