虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

柚月裕子著『滋雨』

【作品紹介】

収録作品:「滋雨」

出版社:集英社文庫

初版発行:2019年4月25日

物語:

 群馬県の警察官を定年退職し、妻と共に四国巡礼の旅に出た神場(じんば)。

 巡礼中に飛び込んできた群馬県で起きた少女誘拐殺人事件。

 16年前に自ら捜査にあたった事件に酷似していることに驚く。

 神場の胸には過去の事件への悔恨が沸き上がっていく。

 

【感想】

 普通の刑事小説と違い、主人公の神場は事件中も現場には行かず、後輩と連絡を取りながら事件捜査には協力はするも、徒歩での四国巡礼を続ける、ちょっと変わったスタイルとなっています。私は四国巡礼をしたことはありませんが、巡礼することで、様々な気持ちと向き合い、自分を見つめ直すことができるのかなと思います。神場も警察官としての人生を振り返っていくうちに、事件のヒントを得たりします。どんなことをきっかけに事件が解決するのか、16年前の事件がどのように関わっているのか、神場の人生をたどりながら、推理して読む展開は新鮮な感じでしたし、どんどんと物語に引き込まれました。