虹色空間から~

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東京バレエ団創立50周年祝祭ガラ

【鑑賞データー】
日時:2014年8月29日(金)18:30開演
会場:NHKホール
座席:3階席
 
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
 
【演目紹介】
振付: ミハイル・フォーキン
バレリーナ:川島麻実子
ムーア人:森川茉央
ロシアの縁日で上映される人形劇ペトルーシュカを主題にし音楽から生まれたバレエ。
「魂をもった」人形たちの悲劇を描く。ペトルーシュカバレリーナに恋をする。しかし、バレリーナムーア人を誘惑して愛のジュエットを踊る。怒ったペトルーシュカは2人をなじるが、逆にムーア人に攻撃され、壊れた人形に戻ってしまう。
 
「スプリング・アンド・フォール」
音楽:アントニン・ドヴォルザーク
沖香菜子・梅澤紘貴
スプリング・アンド・フォールは「飛躍と落下」「春と秋」などいろいろな意味を持つ言葉である。言葉と音楽、動きの言葉、音楽と動き、動いている音楽ーそして踊り!がテーマのバレエである。
 
「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付: ジョン・クランコ
オネーギン:マニュエル・ルグリ
タチヤーナ:吉岡美佳
かつて傲慢な青年だったオネーギンは、田舎の領主の娘タチヤーナの純情をもてあそんだ。数年後、美しく成長し公爵夫人となったタチヤーナと再会し、新たな恋心が燃える。オネーギンは彼女のもとにひざまずき、彼女の愛を求める。オネーギンへの思い残すタチヤーナは迷いながらもオネーギンを拒絶する。
 
「ラ・バヤデール」より“影の王国”
振付: ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
音楽:レオン・ミンクス/編曲:ジョン・ランチベリー
ニキヤ:上野水香
ソロル:柄本弾
恋人のニキヤを裏切って、領主の娘ガムザッティと婚約したソロルが、恋敵の策略ににはまって絶命したニキヤを追い、幻影の世界へと足を踏み入れ、ニキヤを見出し、愛を誓う。
 
ボレロ
振付: モーリス・ペジャール
音楽:モーリスメラヴェル
赤い円卓の上の“メロディー”と周囲をとりかこむ“リズム”とがラヴェルの音楽を大胆に象徴する。
 
【感想】
私がバレエを鑑賞するようになったきっかけはマニュエル・ルグリです。ルグリの舞台で感動し、関わりの深かった東京バレエ団の舞台もよく見るようになり、バレエの世界が広がりました。50周年祝祭ガラはルグリ・ギエム・マラーホフと一番熱心にバレエを観ていた頃に何度もその舞台へ足を運んだダンサーたちがそろって踊るということで、とても楽しみにしていました。会場のロビーには50周年を祝う装飾や過去の舞台ポスター展示があり、特別な空間に来た気分になりました。
ペトルーシュカ」はストラヴィスキーの何とも言えない不思議な旋律にのせて踊られ、一筋縄ではいかない雰囲気満載の作品でした。華やかな広場と人形たちのいる密閉された空間との対比が抑圧された心を映し出し、テクニックではなく心情を表現していくバレエとなっていたように感じました。マラーホフの落ち着きがある踊りが作品に安定感を与えていました。
「スプリング・アンド・フォール」は男性ダンサーの力強い踊りと女性ダンサーのしなやかでやわらかい踊りとのバランスで個性的なアクセントのない音楽を作品として表現するノイマイヤーの巧みさが感じられました。
「オネーギン」は何度も鑑賞しているので、ストーリーや振りを思い浮かべながら観ていると、愛を乞う男と気持ちを残しながら拒絶する女との関係が踊りから垣間見え、よりドラマチックでした。久しぶり観たルグリは相変わらず情熱的でした。
「ラ・バヤデール」は群舞のダンサーたち1人1人が丁寧にしっかりと踊っていたので、とても素敵な舞台を演出していました。ニキヤわ踊った上野水香のバランスの良い安定感に感心しました。
ボレロ」は来年末でダンサーとして引退することを発表したギエムが踊りました。私が観るのはこれが、最後かもと思うと熱が入りました。相変わらず力強くてしなやかで、周囲を圧倒するパワーは健在で、終わった瞬間は一番の拍手と歓声がいつまでも続きました。
様々なジャンルの作品が並び、どの演目もひとつひとつが特別な舞台であるとの輝きを放ち、とても素敵な時間を過ごすことができました。バレエの新たなる魅力の発見にもなりました。そして、ルグリ・ギエム・マラーホフの一番旬の時期をたっぷりと堪能してきた、これまでを振り返り、とても幸せだったんだなと改めて思いました。