虹色空間から~

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映画 『あの日の声を探して』

出演:ペレニス・ベジョ/アネット・ベニング/マキシム・エメリヤノフ/アブドゥル・カリム・ママツイエフ
製作国:フランス・グルジア合作
製作年:2014年

物語:
1999年、チェチェンに暮らす9歳のハジ(アブドゥル・カリム・ママツイエフ)は、両親を銃殺されたショックで声を失ってしまう。一緒にいた姉も殺されたと思い、まだ赤ん坊の弟を抱いて家をでる。子供さえもロシア軍は容赦なく攻撃したいたからだった。しかし、残忍なロシア兵たちも最初は普通の青年で、異常な訓練で人の心を失っていったのだった。弟を見知らぬ人の家の前に捨て、ハジは放浪する、その途中でトラックに乗せられ、難民キャンプに近い街までやってくる。そこでEU人権委員会に勤めるフランス人のキャロル(ペレニス・ベジョ)と出会う。

感想:
チェチェン紛争が舞台と聞くと昔観た「コーカサスの虜」という映画を思い出します。内容ははっきりと覚えていませんが、映画の最後にロシア軍が爆撃しにチェチェンへ向かうシーンがとにかく切なく今でもよみがえります。
この「あの日の声を探して」は怖さとしていつまでも心に残りそうです。
ロシア軍の侵攻を受けたチェチェンの子供と市民を笑いながら殺すロシアの兵士、双方の立場から描かれていて、戦争の残虐性をより際立たせていると感じました。
家族を殺され見知らぬ街へ1人逃れてきたハジは心に傷を負い話すこともできなくなり、街で兵士を見かけるだけで恐怖心に襲われます。保護施設からも逃げ出し、街を放浪しているところにキャロルに拾われ、キャロルに面倒を見てもらううちにハジは声と笑顔を取り戻します。たまたま良い出会いがあり、人の心を取り戻したハジですが、もしキャロルとの出会いがなければどうなっていたのでしょうか?犯罪に手を染めたり、テロリストになったりしていたかもしれません。
一方ロシア兵となった青年はマリファナを吸っていたことで警察に逮捕され、刑務所に入るよりは…と言う気持ちで強制入隊をします。最初は自殺した兵士を思い涙していた青年は軍の上官による暴力やいじめなどによって、しだいに死体を見ても何とも思わなくなり、自分も弱い者へ暴力をふるうようになり、残忍な兵士へと姿を変えました。兵士と言うものがどのようにつくられていくのかがリアルに描かれ、人の心をなくすまでにならなければ、戦争は行えないものなのだと改めて感じました。
映画の中で「子供がどう育つかは環境で左右される」という感じの言葉がありましたが、本当にそうだなと思います。子供たちが人の心を持ち続け成長できるためには平和であることが第一条件であることを改めて心に刻まれました。