虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

小説 砥上裕將著『7.5グラムの奇跡』

【作品紹介】

 収録作品:7.5グラムの奇跡

 著者:砥上裕將

 出版社:講談社

 初版発行:2021年10月7日

 物語:北見眼科医院に視能訓練士として勤め始めた野宮恭一はミスが多く先輩に

    叱られる日々。ある日、目が見えにくい6歳の女の子の検査を担当する。

    自信が無い野宮は気まずい雰囲気を感じながら検査を終えて診察に回すと、

    別の検査を指示される。その検査の結果は思いもよらないものだった。

 

【感想】

 題名にある7.5グラムとは眼球の重さの事。たった7.5グラムが私たちの生活に彩を与え、豊かにしてくれる、なくてはならない存在です。普段、当たり前に見えているものが見えなくなる怖さや見えるはずなのに見えない不思議さなどを患者さんの生き方に寄り添って書かれていて、実感として伝わってきます。眼をいたわらなければ…と思わずにはいられません。合わせて、主人公・野宮がゆっくりと確実に成長していく姿は初心に戻るような気分にさせてくれて、少しカツッ!を入れられたようでした。後味がとても心地よく、読み終わった後にほっこりとしました。