虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

映画『ルーム』

監督:レニー・アブラハムンソ
製作国:アイルランド・カナダ合作
製作年:2015年

物語:
7年前、突然誘拐され、施錠された部屋に監禁され続けているジョイ(ブリー・ラーソン)と、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。ジャックが成長したことで、ジョイはこの部屋から脱出しようと決意し、嫌がる息子を説得し行動に移していく。

感想:
物語の展開は大方の予測がつく流れでした。誘拐され狭い部屋に閉じ込められ、様々な恐怖と戦って生き抜くということは、体験しなければ理解できることではないので、そのことについてあれこれと思い巡らせることはありませんでした。
この映画が一味違うのは、息子ジャックの視点から出来事を描いているところです。「ルーム』から脱出しても外野の様子は描かれず、ジャックがいる空間のみが描かれます。一貫した視点が地味さのあるこの映画をグイグイと物語の中に引きこんでいきます。生まれた時から「ルーム」に暮らし、狭いその空間だけが本物であると思い成長するジャックは突然「ルーム」の外に出ても、広さに明るさにびっくりし、喜びより戸惑いの方が大きくて、「ルーム」の方が良かったと口にしたりします。気持ちはわかるけど、せつなくなりました。それでも、少しずつ慣れて、外の世界に適応していきます。ジャックの様々な成長を感じられて、希望の道筋が見られたかな?と思える終わり方でした。テーマは重いですが、ジャックの視点で描くことで、さっぱりした雰囲気になっていました。