虹色空間から~

日々の生活で興味あることを綴ります

映画『僕と世界の方程式』

監督:モーガン・マシューズ
製作国:イギリス
製作年:2014年

物語:
幼い頃、自閉症スペクトラムと診断されたネイサン(エイサ・バターフィールド)は大好きだった父を亡くし、他者とのコミュニケーションが苦手なことに加え、心も閉ざしてしまった。は親のジェリー(サリー・ホーキンス)は普通の学校に適応できない息子の持つ数学の才能は伸ばしたいと数学教師マーティン(レイフ・スポール)に個人指導を依頼する。高校生となったネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれ、台湾合宿に参加することになる。

感想:
数学の天才が難問に挑戦しながら人として成長していくのかな?と思い映画を見始めたら、合宿という人との交流を必要とする場で様々な人に出会い、成長する物語でした。
発達障害である自閉症スペクトラムと診断されたことに加え、父親を同乗していた交通事故で亡くすというショッキングな事件を体験し、人との関わりが持てず、手をつなぐことさえ苦手としているネイサン。子供のころからの夢である国際数学オリンピックの代表候補に選ばれ、選抜のために行われる合宿に参加します。合宿は人と交わる場でもあります。人間関係の苦手なネイサンですが、関係を作らざるをえない状況となります。そこで、少しずつ成長していくネイサンが描かれます。微妙な人との関わりの変化を繊細な演技で表現していくエイサ・バターフィールドの演技には引き込まれるものがありました。常に下向きかげんで悲しみをたたえた瞳がとても印象的でした。合宿にはネイサンと同じように自閉的な問題を抱える少年も参加していて、自分の事を周りに理解されないもどかしさ、悲しさをストレートに表現していて、障害を抱えながら生きることの難しさも心に残りました。
すごい、と感じたのはイギリスの大人たちは障害を持つ子を受け入れ、自然に接していることです。母親のジェリーはネイサンに拒絶されても愛し生活を支え、数学の才能を伸ばそうとします。また、ネイサンに数学を教える先生たちも特徴を把握して才能を伸ばそうと努力します。障害を持つ人も同じ1人の人としてきちんと向き合い、自然に接していければなと思いました。